今回のひとこと
「正しく学ぶ・努力する・工夫する」
― 正しく学び、努力して、工夫する ―
剣道において、
私の心に一番深く刻まれている言葉があります。
亡きT先生の言葉です。
正しく学び
努力して
工夫する
小学生だった私に、
T先生は何度も、何度も、この言葉を話してくださいました。
当時は深く理解していたわけではありません。
けれど、その言葉だけは、不思議と心に残り続けています。
正しく学ぶ
私の解釈では、
正しく学ぶとは、
先人の教えを正確に受け継ぐこと。
自己流に走る前に、
まずは「型」を守ること。
剣道には長い歴史があり、
多くの先輩方が積み重ねてきた知恵があります。
まずは素直に、それを学ぶ。
ここからすべてが始まるのだと思います。
努力する
努力するとは、
学んだことを自分のものにすること。
頭で理解するだけでなく、
身体で覚えるまで繰り返す。
できるまでやる。
それが努力だと、私は教わりました。
工夫する
そして最後が、工夫する。
物事を習得する過程では、
必ず壁にぶつかります。
そのときに、
「できない」と諦めるのではなく、
自分なりに考え、試し、挑戦する。
試行錯誤を重ねる。
それが工夫なのだと、私は解釈しています。
この解釈が正しかったのか、
本当は先生に確認したかった。
けれど、私がリバ剣士として再び竹刀を握った頃には、
先生はすでに他界されていました。
今となっては確かめる術はありません。
それでも、この言葉は、
私の人生の指針になり続けています。
剣道を離れた時期
剣道を辞めたあと、
私は音楽に没頭した時期がありました。
(この話は、また改めて書きたいと思います。)
楽器を上達させるために、
無意識のうちに実践していたのは、
正しく学び
努力して
工夫する
という、あの教えでした。
工夫をする中では、
そのジャンルの歴史も徹底的に学びました。
型を知り、
積み重ね、
壁にぶつかり、
また考える。
それを10年続けた頃、
その業界で世界的に憧れていたミュージシャンから
プライベートレッスンを受ける機会がありました。
一番うれしかったこと
そのレッスンで一番うれしかったのは、
新しいテクニックを学んだことではありません。
「君のアプローチは間違っていない」
そう言ってもらえたことでした。
自分がこれまで歩んできたやり方、
生き方が肯定された瞬間でした。
あの時、心の中で思いました。
「T先生の教えは、やっぱり正しかった」
と。
次の世代へ
先生に直接確認することはできません。
けれど、この教えは
剣道だけでなく、
仕事にも、音楽にも、
人生のあらゆる場面で通用してきました。
だから私は、自信を持って、
この言葉を子どもたちに伝えたいと思います。
正しく学び
努力して
工夫する
派手ではありません。
けれど、
確実に人を育てる言葉です。
先生が私に残してくれたものを、
今度は私が次の世代へ。
それが、
剣道に育ててもらった者の
一つの恩返しだと思っています。

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